『乾椎茸』~大分県

1箱10.000円(310gで20個入り)。
皆さんはこんな椎茸があることを知っていますか?

皇室への献上品や、大相撲では毎場所優勝力士に渡されるという椎茸が、ここ大分
で生産されています。大分県は乾椎茸の生産が全国一。

ではそもそも乾椎茸とは一体どのようなものなのでしょう。
普段、私たちがスーパーで見かける椎茸とは何が違うのでしょうか。
ということで、今回は『大分県椎茸農業協同組合』へお邪魔させていただきお話を伺いました。

 

8月も終わりに近づいたこの日、JR西大分駅から沿岸近くをタクシーで数分走ると、
やがて椎茸農業協同組合の建物が見えてきました。


入り口に入ると幾つもの優勝杯や表彰状が並んでいます。程なくして今回お話を伺う事業部直販課の
狭間さんが現れ、まずは椎茸の基本的な話から伺いました。

 

 

・乾椎茸と書いて「ほししいたけ」と読む。

普段私たちがスーパーで見かける1パック数百円の椎茸は『生椎茸』と書かれていますね。
椎茸は生と乾燥した物と2種類あります。しかし栽培方法は全く異なるのだそう。

「生椎茸はおがくずを固めたブロックに菌を入れて室内で育てるのに対し、乾椎茸はまずクヌギの
木を伐採し、その原木に穴を開け、そこに菌糸(ピストル弾の様な木片)を打ち込んで、1年半寝
かせます。その後、原木を移動させて、椎茸が発生したら春と秋に収穫します。椎茸は原木のクヌ
ギから栄養をもらって育つのですよ」

 

 

・乾椎茸はとにかく大変・・。

生椎茸は人口栽培で収穫の回転が速い(安定して大量生産ができるので安価)が、
一方自然栽培である乾椎茸の収穫は春と秋の年2回のみ。
またクヌギを伐採してから初めての収穫を迎えるまでに2年もかかるのだそうです。
更に途中で原木を椎茸の発生し易い場所に移動させなければいけないとのこと。
1m近い数千本もの原木を全て人の手で運搬機に積んでは並べる作業。想像するだけでも大変な重
労働です。もちろんその間の山の手入れもしないといけないそうです。

「また、椎茸は原木に菌糸をいれたから必ず発生する訳でもないんです。温度差や雷など菌糸に刺
激がないと発生しないんですよ」と狭間さん。

今から約350年前、大分の炭焼き職人が積んでいた材木に椎茸が自然発生しているのを見つけたそう。
これが大分県が椎茸発祥地と言われる所以で(静岡という説もあり)、当時は椎茸が発生するメカニズ
ムが解らず、神頼みの儀式なども行われていたとか。
確かに現在では椎茸の好む環境が解っているとはいえ、天候に左右され易い自然の山林の中で育てている
ので、大昔は神頼みをしていたというのも理解できますね。
それにしても狭間さん、椎茸が生まれるには雷とか刺激が必要だったり、途中で原木を引っ越しさせると
か、我々には知らないことだらけですよ。

 

 

・傘の開き具合が大切なんです。

ではこの乾椎茸にはどのような種類があるのでしょうか。

「椎茸は傘の開き方で3種類の呼び方があります。見た目や名前が違うのは収穫時期が違う為なんですよ。」

一番人気があるのが『どんこ(冬菇)』と呼ばれるまだカサが開かず肉厚なもの。
その中でもカサの表面に花と呼ばれる模様の入ったものが高級で贈答品などになるといいます。

次にどんこがもう少し大きく育ったものを『こうこ(香菇)』と呼ばれる。こちらのカサに花が入り見た
目も美しいものが、贈答用の中でも最も高級なのだそうです。
そして、こうこよりも更に収穫を遅らせるとカサも開いた『こうしん(香信)』となります。

「このような収穫時期の違いですが、数時間収穫が遅れるだけで、『どんこ』が『こうしん』になったり
するのでその時期農家さんは大忙しです。手伝いを呼ぶそうですが、採っていい椎茸の見極めや原木から
の採り方にもコツがあるので誰でもできる作業ではないんですよ」

ここまで話を伺い大変な時間、労力、コストを考えるとこのような値段になるのが納得できますね。

 


この日こちらの農協で売られていた最も高価な椎茸がこの『花どんこ』。
冒頭の310gで10.000円の乾椎茸。310gだと約20個、1個あたり500円。

 

 

・良い椎茸の見分け方とは?

「良い椎茸は傘の裏が白いです。これが時間が経ってくるとだんだん黒っぽくなってきます。
乾椎茸は収穫後24時間乾燥させることにより、栄養価が格段にあがり、味も美味しくなります。
また1年程度まで長期保存ができるようになります。」

 

最後に乾椎茸農業の今後の課題や目標を伺いました。

「作り手の方が少ないですよね。また平均年齢も70代で若い方が少ないです。作り手が少ないと、
生産量も減る、すると値段も上がる。お客さんも買い辛くなってしまいますので」

中には90歳を超えても現役の方が大分にはいるそうで、その方はご高齢にも拘わらず大分の産業を
支えられているということで県から表彰を受けたそうです。

また平成22年から農協で取り扱う量も800tから500tと徐々に減ってきているという。

また生産者も椎茸専業では難しく、年金と合わせたり兼業したりする生産者が一般的なのだとか。
国や市町村も色々な形で補助金は出しているそうですが、生産者の厳しさを知って私たちも何かできる
ことはないかと今回お話を伺った最後に強く感じました。

「若い後継者を増やして、椎茸栽培の技術を後世に伝えてゆくこと。そして美味しさは勿論、
椎茸の栄養面や利便性、食材としての素晴らしさに加え、椎茸栽培を通じて里山の自然を守
っていることを国内をはじめ海外へもアピールしてゆきたいですね」


お話を伺った狭間さん
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

 

 

 

                                               大分県椎茸農業協同組合
大分市勢家字春日浦843-69
097-532-9141

 


乾椎茸の入札前の風景

 


農協の敷地内にある『椎茸神社』
年初には大分県知事がお参りに来るのだそうです。

 

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